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命 PartⅡ
2015/02/08(Sun)

「胃ろうまでして父を延命させようとは考えていません」

93歳になる入居者Kさんの娘さんの意思はこうでした。

以前から呼吸器系が弱く、昨年十二月に体調を崩してケアポート八王子に来てから

三度目の入院になってしまいました。

一月にはいって病院の主治医から「胃ろうにするか、しないか、判断してほしい」と言われています。


主治医との二回目の話し合いでも判断がつかずに病院の帰りに、ケアポート八王子に

夫婦そろって相談にみえました。

 

「施設の方に相談しても、そちらが困るのは承知の上で相談させてください」

「なんなりと」と私。

「父のお医者さんから胃ろうにするか、今の状態のままにするか、判断をせまられい

ます。どちらを選ぶべきでしょうか」

「・・・・・・」

ことばが出ません。予想はしていけれどこの質問はかなり重いです。


「胃ろうまでつくって生きるなんてというのが私の考えでした。しかし、何もしなけ

ればそれまで、胃ろうを作れば父の笑顔がまだ見られる・・・・・・」

声をつまらせながら話す娘さん、それをとなりの旦那さんが軽く肩をたたいています。

「どうしたろ良いでしょう。そちらが困るのは分かってますが相談するところがなくて」

と申し訳なさそうにつづけてきます。

 

「人の命って重いですよね。人の命は何より重いって言けれど普段は全然意識しませんよね。

いざ、となるとその重みは、普段の考えをはるかに超えるものがありますよね」

娘さんご夫婦二人は下を向きっぱなしです。

しばらくしてご主人が

「帰ろう。二人で決めよう」

といって深々とお礼をいって重い足取りで帰って行かれました。

 

一週間後Kさんの娘さんご夫婦は病院の帰り、またケアポート八王子に寄ってくれました。

応接の椅子にゆっくり腰をおろしてから

「決めました。胃ろうにすることに。退院したら、またよろしくお願いします」

それは考えぬいたすえの”言葉”であることがすぐにわかりました。

「お二人の判断は絶対間違っていませんよ」

と目頭が熱くなるのを抑えながら私はゆっくりと応じました。

「命」は重い。


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